Jan 25, 2014

同人百迷走 第1話「DESIGN FESTAで作品を売る……2年経っても赤字」




前回の続きになります。

同人の話を始める前にそれまでの個人制作やアルバイトの経験を書いていきます。
就活のエピソードもちょっと入りますがマジで糞なので全く参考にならないと思います。



時は今からおよそ9年前の2005年になります。

当時からオレはネットが大好きな人間でした。
自作のサイトやお絵かき掲示板への投稿などでイラストを発表してましたが、作品の展示や販売としての活動の場はネットの外にありました。
DESIGN FESTA(以下:デザフェス)やGEISAIなどいわゆる絵画、アート寄りのイベントです。

オレは大学のデザイン専攻に通い、3年生からはイラストの研究室に所属してました。
そこには人前で自分の絵をプレゼンするといった授業が定期的にあります。
ネットや同人的な文化を理解できる教授がいないためにどうしても「上の世代にウケる絵」にしなければならない空気がありました。

コミケで壁サークルになるよりもイラストレーションひとつぼ展で賞を取る方が評価されます。
自分もそんな空気に従い、お金を払ってコンペに出したり、雑誌に投稿したりしました。
コンペは一次審査すら通らず、誌面に載ることもありませんでした。

2005年の作 Photoshop
コンペに出したものもある


当時、喧嘩しつつも仲の良かった大学の友人で植草航という男がいました。
今や若手のアニメーター、映像ディレクターとして大御所作家からも注目を集めていますが、大学が一緒で下宿先も近く、よく彼の家で遊んでました。

モンハン2を借りたはいいが、ドスファンゴごときの攻略に10時間以上もかかったことは良い思い出です。(結局倒してもらった)

そんな彼と一緒に大学2年の夏頃からデザフェスに参加しました。
植草君の家でプリンタを借りてポストカードを刷って、単価100円で販売するという単純なものです。
自分の絵で気に入っているものを10点ほど選び、それぞれ10〜20枚ほど印刷してもらいました。

ポストカードはデータとプリンタさえあれば制作が容易です。
業者を介する必要もありません。
プリンタは安いもので5000円以下で買えます。
用紙はFUJIFILMの画彩が安くてよく買ってました。

余談ですがこの何年か後にFUJIFILMとお仕事をすることになります。

画彩
100枚で1000円切るという貧乏人の味方
今はもっと安いの出てそうだけど


2005年、初参加のデザフェスはポストカードが50枚ほど売れたと思います。
ポストカードの良い所は一人の人が何枚も買ってくれる所にあります。

100円が50枚なので金額にして5000円です。
出展料の10,000円を考えるともちろん赤字ですが自分の絵がお金になるという事に大きな感動を覚え、自信がつきました。
なによりも普段、ネットを介して自分の絵を見ている人と面と向かって話が出来たことが本当に嬉しかったのです。
いい人たちばかりで素晴らしいエネルギーを貰いました。

次もまた参加したい!
色んな絵をもっと出したい!
そしてもっとたくさん売りたい!

そんなこんなで個人でもイベントに参加するようになります。

当時はSNSなどほぼ機能してませんから宣伝は自分のサイトで行うしかありません。
自分のサイトの平均PVは100〜200(今より多いw)なのでそこからイベントでポストカードを買ってもらえるように可能な限り更新頻度を増やし、イラストを多く載せました。

販売物もポストカードの他に缶バッジ(200円)やパネル(2000円)、ステッカー(300円)などバラエティを増やしました。

デザフェスでの販売を考えるならもう少し売れる絵柄の方がいい、ということでゴシックでダークなイラストをグッズ化します。
人生で初めてイベントの売り上げを考え、絵柄を構築します。

2007年の作 Photoshop

そんな努力(?)の結果もあって非常に地道ながら2007年頃には1回のイベントで20,000円程度は売れるようになります。

展示や販売をしていく中で「今度、クリニックを開業するので絵を描いて欲しい」「○○TV(の下請け)でディレクターやってるけど、今度うちの事務所に遊びに来ないか?」みたいな話もありました。
しかし大半は連絡をしても返事がなかったり、途中でよくわからないことになったりして、上手くいかず、テンションがただただ下がりました。

つまりそういう風にしか相手にされないくらい自分のレベルが低かったということです。

ちなみにデザフェスでも売れる人は本当に売れます。
一回のイベントで数十万〜100万円以上稼ぐ人もいるでしょう。
デザフェスはコミケと違いメディア展開しやすいものが商品として多いのです。
ステッカーやTシャツ、マグカップだったりバラエティにかなり幅があります。
(もちろんコミケで服やアクセサリーを売っている人もいます)

オタク層でなくても作品が売れます。
つまり書店はもちろん、一般的な雑貨店や服屋なんかにも作品を拾ってもらいやすいというメリットがあるのです。
オリジナルデザインのノートを作っていた友人が文具屋の店長にデザフェスで声をかけられ、作品を100部単位で納品してました。
手作りなので制作が大変そうでしたが、良いクリエイティブの場になっていると思います。

そんな素敵な空間のデザフェスでしたが自分の絵は売れません。
せいぜいポストカードで100部、他を合わせても出展料を回収するのがようやくで、制作費や雑費を考えると赤字です。
イベントを楽しむだけの目的ならそれでも良いのですが、当時の自分は大学を出たら絵で食って行きたいな〜などと思っていたので、現実を痛感しました。

最初は興味ではじめたものが売り上げを求めるようになり
売り上げも止まったときに人脈を求めました。
それも行き詰まりを感じました。

そんな中、ついに恐れている事が始まるのです。
学生なら誰しもに訪れる"奴"が……。

そう

就職活動です。


次回「就職活動、HAL研究所の最終面接でやらかす」へ続く