
無料イラスト素材サイト「いらすとや」が大人気です。
webサイトはもちろん、自治体のポスターやチラシなど街のあちらこちらでも見かけるようになりました。
人気の理由は使いやすさと品質の高さです。
さらに種類も豊富で今でも毎日10枚(!)ほど追加されています。
一体なぜここまでハイペースにイラストを描くことができるのでしょうか?
今回は「いらすとやの中の人」ことみふねたかしさんの制作技術に迫っていきます。
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汎用性の高いすぐれたフォーマット
みふねさんのイラストはとてもシンプルです。
シンプルですが特徴があり、知っている人が見れば「『いらすとや』だ!」とわかります。
こういった理由から数多くのファンアートも描かれています。
なかよし三人組のイラスト pic.twitter.com/AxVJOfX4NV— 村上 ヒサシ (@M_hisashi) 2016年9月29日
人数が減ってしまった星屑十字軍の帰り道のイラストです。 pic.twitter.com/zZdOg0WGcq— カヂロ (@kadikadisake) 2016年9月22日
— 虎硬 (@anofelus) 2016年10月6日
[とぅげったー]いらすとや風のイラストまとめ
文言にも気を遣ってます。
「○○する△△のイラストです。」
平易な文体にもかかわらず、対象物によっては破壊力の高いものになります。
もはやこの言い回しは「頑張るぞい」「○○ですね、わかります。」同様のインターネットミームと呼んで良いでしょう。

会社に飼い慣らされ家畜のように扱われている
男性会社員(サラリーマン)、俗にいう社畜のイラストです。 参照元
「いらすとや」は複数人で描かれている?
さて、先ほどは色んな方が描いた「いらすとや風」の絵を紹介しました。
これからわかるとおり「いらすとや」の絵柄の再現はそこまで難しくありません。
「いらすとや」が制作速度が早い理由は複数人で作っているからでしょうか?
否、おそらく全てみふねさん一人で制作しているでしょう。
1日10点という制作は一般的なクリエイターとしては相当の速度ですが、現状のフォーマットでツールを選べば可能かな、と思ってます。
いらすとやはイラレ使い
「いらすとや」本家とファンアートはきわめて似ているのですが、一つだけ違う点があるとすれば制作ツールです。
ファンアートは主にPhotoshop、CLIP STUDIO、SAIなどのビットマップ系の描画ツールを使っているのに対しみふねさんはおそらくillustratorというベクタデータ(ベジェ曲線主体のデータ)を使っていると思われます。

これは完全に僕の予想なのではずれたらゴメンネ〜って感じなのですが、、、
それなりに根拠があります。
一番の理由は僕自身がillustratorを得意なので、クリエイターの勘です。
過去にボードゲーム「汝は人狼なりや?」にはまっていた時期があって、自分でもオリジナルカードを作ろうと思ってillustratorで制作しました。

パーツを使い回し短時間で沢山つくることができる 人狼絵はこちら
当時はキャラクターを16体描いたのですがPhotoshopで描くよりも圧倒的に早く仕上げることができました。
このくらいの密度で当時の僕は1体、3〜6時間かかってました。
(今はもう50%くらい早いはず)
illustratorを採用するメリット
ベジェ曲線というとっつきにくい方法を採用しているillustratorですが、第一線で活躍してるツールなので当然ですが制作上のメリットはあります。
①シンプルな絵柄に向いている
②パーツの使い回しが楽
③色や線の効果をまとめて編集できる
それでは実際に「いらすとや」の事例(の再現)を参考にしながらみてきましょう。
①シンプルな絵柄に向いている

illustratorはシンプルな絵を描くことに向いています。
ビットマップデータは形を整える時に線を削ったりする必要がありますが、ベクタデータの場合はアンカーやハンドルと呼ばれるものを操作するだけなので、とても簡単に編集できます。
逆にいうと複雑なディティールや色味を持つイラストには不向きです。

虎硬の過去作 こういった複雑な絵はillustratorには向かない
②パーツの使い回しが楽

illustratorは一度作った素材を使い回すことが非常に簡単です。
顔であれば、輪郭、髪型、目、鼻、口をバラバラにつくり、それぞれ大きさや色を変えることでバリエーションを膨大に増やすことができます。
③色や線の効果をまとめて編集できる
「いらすとや」の特徴として均一な太さで微妙にブレのある線、ゆるいストライプなどの効果が挙げられます。
これをPhotoshopなどで再現すると人の手によって差が出てきます。
illustratorはこれをある程度機械的に処理することができます。

古いバージョンのillustratorはできないこともあるのですが、
比較的新しいものならこの機能を使うことができます。
まとめ
今回は「いらすとや」の制作方法について僕なりに考察してみました。
表題のイラストはゼロから描き始めて資料を探しつつ2時間弱かかってます。
すでに素材があって慣れている方であれば1時間以内に作れるでしょう。
「いらすとや」はwebプロモーションの上手さに目がいきがちですが制作技術を積み重ね、コツコツ更新し続けている姿勢が、プロのクリエイターとして本当に素晴らしいと思います。
最後にみふねさんの過去の作品を紹介しつつ記事を〆ます。
この当時は現在よりもフォーマットが画一してませんが「絵として」とても完成度が高いです。
高架下の男の子のイラストです。 pic.twitter.com/AQJYyyr9qj— みふね (@mifunet) 2015年8月24日
追記:【データ付】いらすとや風に絵を描く方法を動画で解説するよ
参考リンク
かわいいフリー素材集 いらすとや
みふねたかしのイラスト - Mifune Takashi Illustration
いらすとやTwitter
みふねたかしさんのTwitter
無料素材サイト「いらすとや」は社会インフラになった…(虎硬の配信)