
前回「同人イベント初参加で1000部を発行!!実売数はわずか50部」
初回「おかえり僕のサブカルたち」
なんかもう今回から素直に自分のサークルの絵を使います。
通販とかもやってるので興味がある方は是非買ってみてくださいね。
アリスブックス 恵文社
初の同人即売会で850部の在庫を抱えるようになったオレですが
無鉄砲に1000部発行を決断したわけではありません。(ほ、ホントだよ!)
というわけ今回は同人を企画した2008年当時に
描いていた未来予想の答え合わせになります。
(初イベントで売れなかった言い訳ともいう)
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予想1:pixiv会員は今後爆増する
オレが同人を企画した2008年時点でpixivは5〜10万人程度のユーザー数でした。しかしこれは間違いなく爆増すると考えてました。
つまり、pixivを主戦場にした同人戦略が強いと考えたのです。
そういった理由もあって百化のメンバーはほぼ全てpixiv経由で集めてます。
それまでネットの絵描きは個人サイトやお絵かき掲示板、
チャットなどが主な交流手段でした。
しかしそれらは次第に減少してSNSへユーザーは移っていきます。
オレがpixivに登録したのは2007年9月です。
サービス開始から数日ということもあり、
このあたりの移動劇はよく見ていたと思ってます。
回答:今やpixivは1000万人に手の届く巨大SNS

というわけで多くの方がご存じの通り、pixivの会員数は指数関数的に増加してます。
当時の自分の予想は当たります。
現在の会員数は1000万人近くに上りました。
ちなみに、先ほど個人的に計測したら984万人くらいでした。
正確な数字はわかりませんが1日に1〜2万人ほど増えているようです。
未来予想2:創作イラストバブルがやってくる
pixivブームが予想できたので必然的に絵描き人口も比例して増えると考えました。それと同時に彼らは同人誌を新規に始めるのではないか、
そうなると彼らのファンもイベントに足を運ぶはずです。
つまり、pixivで一定の人気を獲得した作家がイベントで同人を売ることが
今後の主流になると考えたのです。
さらに2007〜2008年のpixivは版権よりも創作系イラスト、
しかも個性的な絵が評価される傾向にありました。
それを見て、これからのスタンダードは個性派絵描きだ!
濃い絵を描くメンバーで同人誌を企画したら人気が出るだろう!
そんな風に思ったわけですね。
少なくとも自分はそういう絵が好きだったので願望もありました。
回答:個人はともかくジャンルとしては微妙ッッ
しかし多くの方がご存じの通り、2009年以降のpixivは版権イラストが人気の中心となります。


ぱっと見わかりにくいですが、東方など版権イラストが多くなってます。
そういうことにしておいてください
当時から予想を立てられて人はいたと思いますが、これはSNSの傾向です。
1、黎明期
とりあえず新しい物が好きな人たちが集まる
情報感度が高く、個性的なクリエイターたちが多い
2、流入期
個性的な人たちが沢山集まっている光景を見た多くのクリエイターが集まる
彼らの中にはハイレベルなクリエイターが何人かいて次第に人気をとるようになる
3、繁栄期
ハイレベルなクリエイターが増えてくると、クリエイター以外の人が増える
必然的に社会的に知名度がある作品が人気をとる
そうなると黎明期の個性派クリエイターの人気は相対的に下がっていく
コミュニティの一生みたいなものです。
幸いなことにpixivは神の見えざる手の力か、現状で高いクォリティを維持してます。
黎明期の雰囲気が継続していくというオレの予想は外れます。
創作同人イベント「コミティア」の参加人数は年々増えていきますが、
バブルというほどのものは現時点で起きてません。
予想3:アングラカルチャー誌が市民権を得る
少しマニアックな話ですがオレには影響を受けた同人誌があります。
YUU菊池、田代ほけきょ、TOKIYAによる2005年リリース「ぎしぎしあむあむ」という企画です。

参加作家:三輪士郎、コザキユースケ、トミイマサコ、ナナタ、なまえあゆみ、にしむら、ヘイカ、町田、卍、ワダアルコ、相場良祐、緑茶、六馬、榎本、笠原鮎、拓、川洋、サクバトモミ、tomatika、小玉有起、わかば、YUU菊池、田代ほけきょ、TOKIYA
もう10年近く前の本ですが参加メンバーが今では商業ベースで活躍する一流のクリエイターばかりなのです。(もちろん当時から活躍していた方もいます)
「ぎしぎしあむあむ」は結局この企画以降は本を出してません。
どれくらい売れたかも知りません。
しかし、このクールな活動は百化をはじめ多くの絵描きに影響を与えました。
自分たちの世代は彼らの後輩にあたります。
彼らの絵を見て育ったので、当然憧れもあります。
いわゆるアングラ系ではありますが
今後はそういった作風がメジャー化するという予想がありました。
ここから少し掘り下げて自分が憧れたイラスト表現の話をしてみます。
平易な言葉で表現するなら絵画調でモンスターっぽい、ダークな世界観。
作家でいうと寺田克也や沓澤龍一郎だったり、ロッキンジェリービーン、
もう少しライトなテイストだと村田蓮爾あたりだと思います。
要するに男の子っぽいイラストです。世代感!

左から寺田克也、沓澤龍一郎、ロッキンジェリービーンズ、村田蓮爾
そしてオレはそういった作家を集めたカルチャー誌のようなものが、
市民権を得ると予想してました。
つまりイラストがパッケージとして消費されるのではなく、
それ単品で評価される時代が来るという予想ですね。
現にpixivはそういったシステムで成立しているわけです。
イラスト単品で評価されてます。
商業誌ではすでにトライしている作品がいくつかありました。
ワニマガジンが刊行していた「robot」だったり、
「GERATINE」、「ひめシリーズ」、「138゚E」があります。
これの同人誌版が流行ると思っていたわけですねーぇーーええ。

左からrobot(村田蓮爾)、なつひめ(黒星紅白)
GERATIN(岸田メル)、138゚E(林田球)回答:無www理wwwwwwwwwwww
結果は、まぁ流行ってません!予算や人材のある商業はわかりませんが、同人はぶっちゃけ厳しいでしょう。
もちろんアングラ系でも作家に力があれば個人誌だとそれなりに売り上げは伸びます。
しかし合同誌にした瞬間、一気に不況のかほりが漂います。
(実際の数字はわかりませんが)商業企画にしても、
似たコンセプトのカラー雑誌が廃刊を繰り返していることを考えれば、
このジャンルがいかにニッチで、売り上げ的に厳しいかという事実が見えてきます。
作家も編集も頑張ってクォリティを上げていることは見ていてわかるのですが、
やはり個性的な面々を一つの本に統一することは難易度が高いのです。
イラスト合同誌は本ッッッ当に引きが弱いのです。
憧れを持っている若きイラスト合同本サークル代表諸君、夢を壊して申し訳ない。
一方で最近は複数人参加型のプロジェクトに関して、
成功例を目撃することもできました。
それはちまたで大人気の「艦隊これくしょん(艦これ)」です。

「艦これ」のイラストはアングラ寄りである意味でネットっぽいです。
多くは美少女+メカという要素で構成されています。
さらに参加作家がほぼルーキーで作風も世界観にマッチしています。
しかも上手い人をちゃんとチョイスしているので、
やっぱこっち系の絵を活かすなら本よりもゲームだよな〜
なんて個人的には思ってました。
普通のゲームだと絵柄を厳しく統一することが基本です。
しかし「艦これ」にはそういった強いレギュレーションは感じられません。
これは地味にかなり凄いことなのです。
……ちょっと本題をはずれましたので戻します。
以上のような3つの予想があり、同人をはじめてはみたのですが、
環境を上手く想定、活用することが出来ませんでした。
いや、もちろんそういう予想抜きに、1000部発行は無謀な試みでした。
しかしです。
先にも在庫「50」部と書きましたが、百化は活動を続けた3年弱で「祭」の在庫850部をほぼ完売(通販分を除く)というミッションは完遂したのです。
これは運も大きかったのですが、地道な作業の積み上げが一番でした。
色んな人たちの支えが本当に大きかったです。
さて、次回からはまた自分語りのパートに戻ります。
在庫850部を売り切るためにとにかくありとあらゆる手段を考えます。
簡単にいうとオレが考えた戦略は「守り」ではなく「攻め」でした。
それは制作ペースを高速化し、さらに本を発行し続けようというものでした。
次回「同人誌の在庫は悪である」へ続く
<連載目次>