Mar 2, 2014

同人百迷走 第11話「仲良し同人サークルほど崩壊しやすい!?」



前回の記事で「仲良しサークルほど崩壊しやすい」という意見を書きました。
これは統計をとったわけではないので単なるオレ個人の主観とも言えます。

しかし周囲のサークルを見る限りはこういった例はよくあるように思えます。
プライベートでも遊んだり旅行に行くような仲の良さの人達が、
同人サークルになったらなぜか崩壊させてしまうのです。

自分のサークル百化に関して言えば人間関係のトラブルはほぼ起きていないです。
(少なくともオレが把握している限りは…)
その理由は制作以外であまりコンタクトをとらないからだと思ってます。

具体的に同人の話をする前にまずは別のケースから考えていきます。
オレが注目したのは恋愛とお見合い結婚の離婚率でした。



恋愛結婚の方が末永い結婚生活が続くと思う方もいる知れません。
しかし現実は上のような客観的な数字がデータとしてあります。

これは離婚率の話ですが、同人サークルにも当てはまることは多いと思うのです。
上記記事でお見合い結婚の特徴として「冷静」「慎重」「理性的」と書いてありました。

仲良し同人サークルの結成において、
この3点を重視しているケースは少ないでしょう。

例えばネトゲで知り合い、凄く仲良くなった人同士でサークルを作る場合、
ゲーム内でのコミュニケーションと制作現場でのコミュニケーションは異質です。
それ故に同様の秩序を保てるかというと別なのです。

一つの関係性は全てのコミュニティにおいて万能ではないのです。



同人サークルにおける民主タイプと独裁タイプ


同人サークルも組織ですからある種の統治体系が必要だとオレは思います。
実際、多くのサークルが意識的、無意識的にも
ひとつの結論を出すにあたってシステムを構築しています。

ここでは簡単に民主タイプ、独裁タイプという二つのモデルを使って考えていきます。


民主タイプ
多くの人の意見を取り入れて企画を決める。会議(Skype通話など)で定期的な検討によりサークルの方向性を討議する。仲良しサークルによくある形態。
メリット:集合知として多くの意見を統合し、誰でも企画に参加できる
デメリット:結論がまとまりにくく決定が遅い、全体の知能への依存が強い


独裁タイプ
個人(代表)が本のテーマや宣伝など細かい采配まで全て一人で決定する。
他の人にあまり意見を聞かず、独断で重要な決定を下す。企画重視のサークルによくある形態。 
メリット:動きが早く、小回りがききやすい
デメリット:代表が大きな権力を握るので一部の意見はほぼ聞き入れられない


会議は踊る


一見、民主タイプの方が平等で不満が起こりにくいように見えるかもしれません。
実際の所このシステムを取り入れているサークルは多く、
その場合は決定権を持つ人が曖昧だったりします。

問題点はとにかく行動が遅いのです。

新しく企画を作る場合、みんなで相談。
人を新たに入れる場合、みんなで相談。
トラブルが起きた場合、みんなで相談。

そうやっている内にチャンスを逃したりトラブルが深刻化するケースもあります。

しかもその「みんな」という人達が諸問題を解決できるなら良いです。
同人サークルの場合はそのような人材がそろっていることが希有です。

これは個人が有能かどうかという話ではなく、
組織の中でステータスを発揮出来るかという評価です。

ルールが半端な平等精神はお互いの責任を「相談」では解決できません。
その結果、責任転嫁や作業の放棄を招きます。

さらに会議というシステム自体も無理があります。
それは金銭的な報酬なしで人の時間を拘束する行為だからです。
各人にとって面白い話なら良いですがそうでない場合、参加者は減っていくでしょう。

そうなった場合、会議によく参加し、発言数の多い人が中心となり組織が動きます。
発言レベルも評価されるのでどんくさい人はどんどん置いていかれて孤立化します。

「俺に相談なく決めやがって……」みたいなこともよく発生します。



全て自分で決め、責任を被る


反面、独裁タイプには民主的な煩わしさはありません。

一人の代表が即断即決します。
もちろんこれが凄まじい馬鹿だった場合は、
サークルにとって甚大なダメージになるわけです。

それゆえ、哲人政治のごとく全体に配慮しつつ、
よく学び、よく働き、しかし独断で動く、
そういった運営方法が良いかと思います。

自分の頭で考えて決めることは結構な勇気が必要です。
それ故に独裁タイプのサークル代表はある程度のロジックや教養が必要で、
自分のイメージを相手に上手に伝えなければいけません。

独裁でサークルを運営する場合は印刷代などのお金は、
全て代表が負担べきだとオレは思います。
人に行動を促す以上は最大限のリスクは代表が被るという覚悟の儀式ともいえます。

そして前回記事でも書きましたがまずメンバーを楽しませることを考えなければ、
サークル自体を維持することができないのです。
とにかく代表はメンバーのために、制作のために忍耐強く働く必要があります。

愚痴や不満は極力表で言うべきでなく、
相手に修正の意思を伝えるのであれば表現を選ぶのが良いと思います。

決定が全て自分であれば安易に人のせいにすることはないはずです。
代表にとって不都合なメンバーを処罰対象とみなす独裁は単なる恐怖政治です。
人にとっても組織にとっても良いこととは言えません。



ボス戦に備えよ!


同人サークル、もとい集団制作はRPGのパーティのようなものだと思ってます。
つまりある種の目的のために多技能な人員を常備する組織です。

ゲームでいうと戦士や魔法使いばかりではこちらの回復やサポートが弱くなります。
もちろんサポート役の僧侶ばかりでは火力不足で勝てません。

バランスを考えることが大切です。

さらに実際の制作とゲームとの違いは個人の感情が大きく絡むことです。
前回の女性問題もそうですが、技能的には高くても、
コミュニケーションで上手くいかないケースは非常に多いのです。

逆に初期技能が低くても百化の多くのメンバーがそうであるように、
制作を通してある程度技能というものは向上するのです。

サークルに入れてから育てるか、元々レベルの高い人を入れるかはその時々です。
百化でいえば2012年5月に出した「ネット絵学」は後者の例です。

まず、164ページの本を作るのに制作期間は3週間しかありませんでした。
この時は現行メンバーも3人ほどスタッフがいたのですが、
今のパーティじゃ間に合わないと感じていたので外部から助っ人を呼びました。

中でも新規参加のエス、八田モンキーが非常に有能で誌面の構成からデザイン編集、校正、webページまで幅広く担当し、本当に3週間の制作で「ネット絵学」は完成しました。

既にいるメンバーは大事にすべきですが、戦力は正しく見極めなければいけません。
特に「ボス戦」のような企画に挑む場合は技術的、メンタル的な見極めを誤ると組織自体が大きく転ぶ可能性があります。



まとめ


以上のことをまとめると同人サークルにおいてのオレの結論はこうなります。

1 仲良しタイプより企画タイプ

仲の良い人同士のサークルは破綻が起きやすい。理由は今までの関係性が制作になると通用しないケースが多いからである。あくまでもその企画に適する人材を集めるのが肝要。

2 制作体制は独裁で

少人数で人材不足のケースが多いため、全ての人を尊重するように意思統治を計るのは無理がある。責任のなすりつけ合いにも発展することもある。ただし、ある程度組織が成長し、人材が整ってきた場合は決定権のいくつかを譲渡したり会議を増やすことが良い。

3 チームの能力を考えよう

チームの能力を客観視して、今進めようとしている企画が本当に実現可能かを冷静に考えよう。理由なく先送りしたり、面倒だからといって途中で投げ出したりすると信用が落ちる。


細かく書くとまだまだ増えそうですが、ひとまずこんな感じでまとめさせてください。
次回は委託について!


次回「同人誌の書店委託 初めてのイロハ」へ続く



<連載目次>

第0話「おかえり僕のサブカルたち
第1話「DESIGN FESTAで作品を売る……2年経っても赤字
第2話「就職活動、HAL研究所の最終面接でやらかす
第3話「カイカイキキ入社!村上隆の仕事現場 前編
第4話「カイカイキキ入社!村上隆の仕事現場 後編
第5話「同人イベント初参加で1000部を発行!!実売数はわずか50部
第6話「これからは同人誌の時代、そう考えていた時期がオレにもありました
第7話「同人誌の在庫は悪である
第8話「在庫800部を抱えつつ次回作を企画、発行部数はもちろん…
第9話「同人誌の在庫は財である
第10話「同人サークルの解散理由は『女』と『金』←これマジ?