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Feb 13, 2018

「漫画村」の悲劇 "有害性の注意" が逆効果になるという話

タイトルが結論です。
そしてこの記事もパラドクスを含んでいる。

先日のコミティアで漫画家の友人らと話していたときに漫画村の話が出ました。

僕「そういや漫画村ってどうなの」
A「俺の単行本もアップロードされてるし、最悪」
B「今は電書の方が売れるから、違法サイトが本格的に流行ると致命的かも」
A「あと、善意のつもりだろうけど、話題にした人も正直やめてほしかった
僕「?」

漫画村は商業や同人誌の漫画が違法にアップロードされた悪質サイトです。
各出版社、漫画家などはこのサイトの停止等の運動を進めてます。
※サイトにウィルスが仕込まれているという話もあるので興味本位でも閲覧しないことを推奨します!!

漫画村が有名になったのはいくつかのツイートがきっかけだったかと思います。
内容は「漫画村は違法であり、使用してはいけない」をいうものでした。
至極まっとうな意見だし、サイト名も伏せ字になってました。
しかし、その結果として多くの人に漫画村を認知させる助けとなった可能性があります。



こちらのツイートにもあるように、注意喚起は裏を返せば
「みんなやっている」という証明にもなります。
こちらの事例では化石の盗難率が上がっているのです。

おそらく漫画村の有害性に関して注意した人は本心からサイトの閲覧を止めたかったのだと思います。
しかし現実に起きたことは以下の通りでした。

①Twitterで話題になる
②白ハゲ漫画がバズる
③まとめブログが乱立
④NHKで特集が組まれ「閲覧は違法ではない」と報道
認知が進み、違法サイトがさらに使われるようになる

地獄かよ…特にNHK……

また、漫画村の悪魔的なところは、サイトに載ってる広告で違法性がないことを強調している点です。
この広告によって「無断転載を読むのはやめよう」と指摘する人に反論する武器を与えてます。
漫画村ユーザーの後ろめたさをサイト自らケアしてるのですね。
このロジックの妥当性については門外漢なので論じませんが
現状で閉鎖してないところを見るに、物理的にも法的にも、手を出しにくい領域なのだと思います。

作家の佐藤秀峰先生がはこちらの記事で実害性がない旨を論じてました。
同意できる点もありますが、産業の興亡については楽観論もあるかと思います。
現実に違法サイトで苦心しているクリエイターがいる事実はあるし、
長期的にこの手法が普及・認知すれば本当に漫画は買われなくなってしまうのだと危惧します。

こんな記事を書いておきながらではありますが、
違法性の高いサイト等を見つけたときは公に出さずに専門家に対応させることが重要なのかと思います。

ちなみに、近しいサイトの「フリーブックス」は話題になりつつあったタイミングで速やかに閉鎖されました。
このようにおもてに名前が出てくる時は、事後報告的にひっそりと周知されるのが望ましいと思います。
そうでなければ、アンタッチャブルなサイトは触れない。
「周知せず、肯定せず、放置せず」で考えていきたいです。

書いてる人

虎硬 / Toraco

イラストとデザイン、たまに文章を書きます。

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